インド、鉄道。

2017年9月上旬、私はインドの首都デリーからジャイプールという街へ行くため、鉄道に乗っていた。インドの列車は決して速くはない。地図で自分の移動速度を見ていたが100キロ弱であった。格子窓で吹き抜け状となっており、エアコンがない車両は地獄だと言われていたが、夕方に乗ったためむしろ風が気持ちよかった。およそ5時間の間、垂直の背もたれの椅子に座ってぼーっとしていなければならず結構な苦痛であった。しかしいくつかエンターテイメントがあった。まず、彼らインド人は隙間があれば入ってくる。リキシャに乗っている時も、空港で列に並んでいるときも感じたが、とにかく隙間に入ろうとする。これは我々日本人からしたらギョッとすることだが、長椅子に座っていた私と私が無理やりインドに連れてきた友人の間に知らないインド人が平然と座ってきたのだ。指定席のはずなのだが...。しかもその動きは流動的で、座ったかと思えば別のとこへ行ったり、はたまた3人席に6人ほどでひしひしと座ったりと往来が激しかった。もう一つ、気づいたことがある。インド人はおしゃべりが好きだ。先ほど行ったように勝手にいろんな席に座る彼らは、座った先にいた人とあたかも最初から友人であったかのように親しく話し出すのだ。元々座っていた人もすっとその人のために場所を空ける。目があったら気まずいから顔を下に向けているか広告を見ているかスマホを見ていなければならない日本の電車では考えられない光景である。しかもおしゃべりは二人の間で完結せず、周囲にいる人まで口を挟んでおしゃべりを始めるのだ。そんな彼らを見ながら自分もあんな風に話したいな、と思っていたらやっぱりきた!ニコニコしながらおじさんが近づいてきて、私の隣のスペースにゆっくりと腰掛けると”Hello”と声をかけてきた!嬉しくなって私も”Hi”と挨拶を返すと“Where are you from”と聞かれ”Japan”と返した。が、何回言っても通じず、彼は私が言ったことを理解できなかったようだった(私の発音が悪い、とかそういうことではなく)。Japanという単語すら知らなかったのか、仕方なく他のことを話そうと試みたが、彼はどうやら英語を話せないようで、少し残念そうに微笑むとしばらくして去っていった。私も少し残念であった。しかし、それと同時に大陸の温かさが胸にじんわりと広がっていくのを私は感じていた。

インドでは英語が準公用語である、と高校で習っていた私は現実との違いを実感し、ますますこの国について知りたいという気持ちが強くなっていった。インドにいた知人の話によれば英語が通じるのは首都デリーで、離れるにつれだんだん通じなくなっていく、ということであった。というより、首都デリーから出た列車内でもう通じなくなっていたのである。この国の計り知れなさ、奥深さを身を以て知ったのであった。この時、私達の旅はまだ二日目であった。窓の外に流れる、静かに広がる大地を眺めながら私はこれからの旅路に思いを馳せた。 

 

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Journey day2 part2 Delhi→Jaipur

 

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